2016年2月6日土曜日

白米(天のつぶ)・福島県楢葉町(2015年)某大学測定済検体

本日は、某大学より測定済の検体を頂きクロスチェックした検体の追記になりますが測定結果についてです。
商品名は、「白米(天のつぶ)」
産地は、「福島県楢葉町」
製造者及び販売者は、「有限会社がんたら」

福島県楢葉町の2015年産の白米となります。
測定経過は、以前公開していますので参考までに再掲しておきます。
↓↓
「某大学測定済検体によるクロスチェック測定経過の随時報告」
http://onomichi-labo.blogspot.jp/2015/12/blog-post.html

クロスチェックをさせて頂くことになった経緯を、一部箇条書きに変更しておりますが併せて掲載したいと思います。
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おのみち -測定依頼所-の杉原です。

実は一つお願い事がありまして
当方の測定器は非電化工房製のCSK-3i-X
で、デジタルMCAのNaIシンチレーション式の検出器です。
結晶は3インチの大きさとなります。

先生のところで測定され、微量(1Bq/kg未満程度)のセシウム137が検出された検体がもしありましたら、
当方でお借りして、測定器のチェックを行いたいと考えております。
その際、先生のところで測定された結果と、当方の結果をそれぞれ公表してみたいと考えております。
厚かましいお願いではございますが、どうぞよろしくお願いいたします。

もしOKとご許可を頂けるのであれば、検体を当方まで着払いでお送り頂ければと思います。

なお、今回のお願いをするに至った経緯は、
当方の測定器が本当に測定できているのかのチェックもあり、
またこの結果は「全国の市民放射能測定所ネットワーク内」や「みんなのデータサイト内」でも情報共有したいと考えております。

急ぎではございません。いつになってもかまいませんので、どうぞよろしくお願いいたします。
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→提供可能
→母材もある程度は調整可能
→有機体(構成している原子がC,H,O,N)や水(h2o)なども有
→減弱が構成原子によってかわるので、自己遮蔽分の計算に有効
→他の市民測定所の方と同様のクロスチェックを行ったケースも有
→クロスチェックはとても大事
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→NaIシンチレーション式ですので、有機体は出来るだけ少ない検体
→放射能セシウムが、どの辺りまで有機体が少ない条件下となりますが、検出出来るのか検証したいと考えている
→腐敗のことも考えて、液体ではない検体
→検体の放射性セシウム137は0.50Bq/kg程度の検体であれば一番良い
→可能であれば比重も1Lあたり1kg程度の検体
→1Lで300g程度の検体ですと、測定下限値があまり下がらずとても難しい
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→環境中の放射性セシウムなら、10^-3 Bq/kg から 10^7 Bq/kgのオーダーで用意可能
→同じ試料で他の方とのクロスチェックに用いられる際には、コンタミに注意
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→他測定所にも、クロスチェックとして是非使用
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→放射線のラボなので、濃度だけで言えば、9乗Bq/100mg(原子炉で生成)も有
→濃度だけで驚くことはあまりない
→それなりのものが管理区域「外」にある現実
→楢葉町産(平成27年産、出荷制限用)のお米を約2kg
→放射性セシウムとして0.91 Bq/kgだったもの
→データシート同封
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=クロスチェック元=
「某大学」
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【某大学様の測定結果】
測定器:確かキャンベラ製→調査中
測定日:2015年11月20日
測定時間:310,800秒
重量:1,870g
測定容器:マリネリ2L容器
放射能濃度
Cs137=0.7438±0.01661Bq/kg
Cs134=0.15419±0.0097847Bq/kg
K40=22.42±0.3760Bq/kg

荷重平均放射能濃度
Cs137=0.7438±0.01661Bq/kg
Cs134=0.1705±0.007514Bq/kg
K40=22.42±0.3760Bq/kg

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当方「おのみち -測定依頼所-」からの測定結果等は次のとおり。
(測定風景)





(検体情報)
食品名:白米(天のつぶ)
産地:福島県楢葉町
製造者:有限会社がんたら
製造工場:有限会社がんたら
販売者:有限会社がんたら
生産年月:2015年(精米年月日:2015年11月9日)
入手年月:2015年11月
賞味期限:NO DATA
ロットナンバー:NO DATA

(測定結果及びまとめ)
※今回は、測定結果をお送りした後のやり取りも箇条書きですが記載させていただきました。
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先ほど測定結果が出ました。
お送り頂いた白米の結果は
測定日:2015年11月20日
測定時間:310,800秒
重量:1,870g
測定容器:マリネリ2L容器
放射能濃度
Cs137=0.7438±0.01661Bq/kg
Cs134=0.15419±0.0097847Bq/kg
K40=22.42±0.3760Bq/kg

荷重平均放射能濃度
Cs137=0.7438±0.01661Bq/kg
Cs134=0.1705±0.007514Bq/kg
K40=22.42±0.3760Bq/kg

でした。
当方では

測定時間:43200秒
重量:928.1g
測定容器:1Lマリネリ容器(全量充填)
解析精度:3σ
セシウム137:0.583±0.391Bq/kg
セシウム134:不検出(測定下限値<0.3Bq/kg)
カリウム40:17.7±6.93Bq/kg

解析精度:1σ
セシウム137:0.583±0.208Bq/kg
セシウム134:0.156±0.126Bq/kg
カリウム40:17.7±4.67Bq/kg

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→セシウム137の値が低めに出てしまっていますが±の範囲になんとか収まっていますので良好と推測
→先生のところでは、2Lマリネリ容器。当方では、1Lマリネリ用器による測定なので若干違ってきたのかなとも思っている
→市民測定所内でも小さい容器であると若干値が少なめに出るとかという話有
→この辺りも検証
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→スペクトルを拝見させて頂く限り、セシウムよりも高いエネルギーの光によるビルトアップ分を考慮すると、お示し頂いた結果を定量的に議論するには厳しい値
→今回たまたま3σ/1σでのエラーの範囲に入っているが、これは分解能の差ゆえに「なんとなく」出てきているもの
→すくなくともGeで1σを定量に用いることはもちろん、定性にもつかうことは(特殊な事情を除いて)まずない
→今回の測定結果を見る限り、派手な値が出ていないということ以外のクロスチェックから得られる統計的、定量的議論は難しい(計測を生業にしている私からのコメント)
→(とはいえ、NaI-Geのクロスチェックによって定性的には両者の整合性がとれていることは、とても重要)
→ときどきNaIを測定に使用することがありますが、(目的はセシウムの定量ではなく別のγをJ-PARCなどで拾うときですが)、大きさは米俵くらいのものをつかう
→それでも下限値、ということに関してはこの数値までもっていくことはない

(以下余談)
→NaI-Geの両者のγの拾い方の特性を活かして面白いことがたくさんできる
→例えば、最も有名な方法は、GeとNaIで同時計測ができれば、すばらしく下限値を抑えることもできる
→測定器の中身をいじる必要があるが、NaIもシグナルの拾い方をちょっと変えるだけで楽しいことができる
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→今回のように微量になってくるとNaIでの定量は難しいと感じていることから、値を議論することは難しいと思っている
→±の範囲に入っていたとしても、定量はゲルマで行うべき値だと考えている
→今までの経験上、3σでの結果を見ても、±の範囲が大きいので存在はしていると判断できると
→1σは無理やり値を出したのみですので、定量には使えない
→1σの結果も併せてお送りしましたのは、とりあえずcpsとして拾ってはいたという意味合い
→定量はできないというお話は良く理解

(以下、下限値を0.3Bq/kgまで持っていっている理由)
→存在しているのかどうかをしっかりと把握し、出来るだけ長く時間をとって測定をするため
→実質Geで測定するのが一番なのは良く理解
→NaIでは有機体が多いと測定自体が難しい
→どこまでなら、「定性的には両者の整合性」がどれるものなのか
→当方に限らずNaI等のシンチレーション式の測定器を所有している市民放射能測定所では、その辺りを日々悩み考察
→今回、当方からの申出を快く引き受けて下さり本当に感謝
→現在は、他の測定所にも今回頂きました検体のクロスチェックの希望を投げかけ中

(余談について)
→NaIとGeを持っている測定所であれば可能性
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→NaIでもGeでも定量するための装置である以上、どんなサンプルだって精度が異なっても同じ値が出る必要有
→10 +- 0.1と 15 +- 8は、確かに精度、確度ともに違いますが、測定としては同じ事
→サンプルの材質(自己遮蔽係数)、密度、立体角、が変わっても
→一般的な測定では3σ、あるいは、エラーは10%程度に抑えたい
→後者なら、理想的にはネットカウント(ちょっと乱暴ですがCPSでも可)の平方根がエラーとなりますので、10%に抑えるためには、100に対してエラーが10になるくらい
→この程度をおおよその下限値として考えておくと、誰からも文句を言われることはない
→クロスチェックに出すための値とも言える
→また、我々の場合、というか一般的なGeの場合、サンプルの材質に合わせて、自己遮蔽係数を変える
→たとえば、有機物、土壌、水、のそれぞれで減弱が変わりますので、同じ放射能でも測定上の値は変わってくる
→こういったことがNaIでもできれば良いのですが、ソフトウェアを相当に弄る必要があるので、ちょっと面倒
→Geの解析用ソフトウェアだけで結構なお値段(このような設定があるため)

(余談)
→余談の技術は、コンプトンサプレッション、というもの(NaIでなくてもBGO等も使う)
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→エラーとは±で10%という意味と捉えた
→ソフトを弄るのは非常に難しいですので、現状で、それぞれの検体で何処までならという事に行き着いてくるのか検証したい
→最近では他に「NPO法人新宿代々木市民測定所」様でゲルマクロスチェックもされた白米の測定も有
「白米・福島県双葉郡浪江町酒田地区(2015年)合資会社旭屋:ゲルマクロスチェック結果」
http://onomichi-labo.blogspot.jp/2015/12/2015_15.html

「白米(粉末)・福島県福島市松川町(2015年)おかわり農園:ゲルマクロスチェック結果」
http://onomichi-labo.blogspot.jp/2015/12/2015_16.html

→±の範囲を10%にしようと思いましたらこういった検体ではNaIでは不可能
→±の範囲内になんとかGeの結果と重なるかどうかというレベル
→有るのか?無いのか?という判断も難しい
→以前からNaIではスペクトルから判断して、「Geでここまで検出下限値を下げて測定すれば判断できるかも?」という風に考えている
→こういった考え方は、測定者という立場から判断される場合、とてつもなく恐ろしい考え方と言わざるを得ないのではないかなと推測
→そういう判断をすること自体が無意味なのかもしれない
→NaIやCsIといった検出器を用いた市民測定所でどのように判断していけばよいのかの指標にもなればとの思い
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→どんな検出器でも数値を扱うことには変わりはない
→最も間違いの無い方法は、検出下限をどのように設定し、どのように計算しているのか、を明示できること
→前者は一般的にはCooperの手法が用いられることが多いと思う
→後者はソフトウェアまかせにしてしまうことがおおいのですが、ここを複数の方が検証できれば、誰がどう言おうと間違いの無い値を示すことができる
→「スペクトルから判断」するためには、この2点がキーになるように思います
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→再度勉強してみます。
→最近では経験上の判断から
→当方の検出器の測定下限値の求め方はメーカーからも伺ってはいる
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(※以下は他検体での談義)
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→クロスチェックそのものは可能
→クロスチェックで、「どうして差が出るのか」について言及する場合には、誰もが納得いく形で原因を追求しなければならない
→たとえば、3つの測定値があり、2つが一致、1つが外れているとする。
このとき、2つの値が正しいとは限らない。もしかしたら、1つの方が合っていて、2つが真値から外れているかもしれない
→極論を言えば、100対1でも、1の方が正しい可能性が(ごくごく僅かですが)ある
→このことを誰もが納得する形で評価するためには、統計による解析が必須
→統計評価のためには、「どのように測定したのか」、つまり、少なくとも
1.生データ
2.測定条件(機器の特性を含め)
3.検出効率
4.(今回の検証には直接関係ありませんが)Sum補正
5.自己吸収(遮蔽)
6.バックの差し引き
といった情報が間違いなく必要
→その点も含めての評価であれば可能
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→Geの範囲にNaIが入ることはない
→定量は条件に依存
→定量下限、MDAを超えたときに定量できる
→いきなり数値で比較することはできない
→説明時にはこのような条件下で、と明示が必要
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※2015年12月11日の測定結果です。
(ゲルマニウム半導体検出器の測定結果は、2015年11月20日です。)
また、放射能測定での数値は絶対値ではありません。
機器や測定環境も左右する確率的な測定ですので、あくまでも参考値としてご活用ください。
この個体(このロット)を測定した結果はその母集団の数値を保障するものでありません。
今回の測定が検出なしでも、永続的な安心を保障するものでもありません。

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