2014年10月16日木曜日

土壌(客土混入・南側)・沖縄県(2014年)

本日も、ご依頼のありました検体の測定結果です。
検体名は、「土壌(客土混入・南側)」
採取地は、「沖縄県名護市」

約10m×25mの土地に深さ1m程度で土をいれた(客土)ところ、
それまで0.05μSv/h(点滅)以下しか示したことのなかったAIR COUNTER-Sが0.1μSv/h以上を示すようになった。(地上約1mの空間線量)
購入した客土は山土だと聞いていたこともあり何が原因だろうかと思い測定のご依頼がありました。

北側の結果はこちら

「土壌(客土混入・北側)・沖縄県(2014年)」
http://onomichi-labo.blogspot.jp/2014/10/2014_15.html

北側の土壌と同じく
1Lマリネリ容器での測定とさせて頂きました。
同じく容量が500ml程度しかないため、出てきた数値に信頼性はほとんどありません。
しかし、近い数値になるのは確認しておりますので、おおざっぱな数値と思ってください。
とにかく有るのか、無いのか、その原因はなになのかと推測するための測定とさせて頂きました。

****※ご注意***************************************************
現在の土壌測定に必要な量は1Lとなります。
土壌測定には申込書だけではなく、土壌を採取する際に「野帳・伝票」も必要となります。
・野帳はA4版で、1地点に1枚必要です。採取する地点数分をコピー、印刷してお使いください。
・伝票はA4に4枚の伝票が1枚にまとまっています。必要枚数をコピー、印刷して、4つに切ってお使いください。
 (伝票は、油性ペンでお書きください)
マニュアルと同時にダウンロード、印刷をお願いします。
「土壌採取マニュアル」と必要な「野帳(フィールドノート)・伝票(標本ラベル)」はこちらになります。
<土壌採取マニュアルPDF>
<野帳と伝票の用紙PDF>
・また、野帳と伝票の記入方法の説明書があります。こちらも印刷してご覧ください。
<野帳と伝票の書き方のPDF>
採取のポイントは以下になります。
 ○晴れが3日以上続いた日に採取を行う。
 ○空間線量計を用いて、大まかな線量を把握し、極端に線量が高いホットスポット(特異点)、
 たとえば雨樋の下や側溝に溜まった土や苔などの特殊な地点ではない土壌を採取します。
 ○地表から深さ5cm、縦10cm、横20cmの直方体できっちりと採取します。
 ○GPS(緯度・経度)情報を記録し、あとから地図化できるようにします。
詳細はこちらになります。
「土壌採取マニュアル」
http://www.minnanods.net/soil/samplingmanual.html
「野帳・伝票」
http://www.minnanods.net/soil/yacho.html
ご不明な点がありましたら、どうぞお問い合わせください。
お問合せ先→ 「メール」onomichi_labo@yahoo.co.jp 又は 「お問合せフォーム」
*****************************************************************

それでは、測定結果です。

(判定方法:スペクトルからのピーク)
セシウム134
605keV:○
796keV:×

セシウム137
662keV:×

カリウム40
1461keV:○

[ウラン系]
鉛214
242keV、295keV、352keV:○

ビスマス214
609keV:○
1120keV:○

[トリウム系]
鉛212
239keV:○

アクチニウム228
338keV:○
911keV、965keV:○

タリウム208
583keV:○
861keV:○

[その他]
ベリリウム7
478keV:×

この度の測定結果では

天然核種
「カリウム40」
「鉛214」(ウラン系)(微量)
「ビスマス214」(ウラン系)(微量)
「鉛212」(トリウム系)
「アクチニウム228」(トリウム系)
「タリウム208」(トリウム系)

の検出と判断いたします。
セシウム137については、662keVにピークが全くと言っていいほど確認できません。
セシウム134については、605keVにはピークが確認できますが、796keVにはピークが確認できません。
結果としては、
セシウム137及びセシウム134共に不検出と判断しました。
カリウム40の他に天然核種としてトリウム系に加えて微量のウラン系が検出されております。
人工核種については、不検出とさせて頂きました。

なお、福島第一原子力発電所の事故以前の大気圏内核実験やチェルノブイリ原発事故の影響で
全国どの土壌からもセシウム137が5~10Bq/kgは検出されてもおかしくはない状況です。
今回の結果からは、セシウム137は不検出と判断しましたが0ということではなく、
少しは存在していてもおかしくはないことを申し添えておきます。
それでも1~2Bq/kg存在するかどうかだと思われます。

先日の北側の土壌と同じスペクトルとなっております。
ですので、空間線量計の数値に差が出たことに対する推測ですが、
北側の土壌と同じ推測になります。

客土にはウラン系かトリウム系が含まれていたものと考えられます。
隣地の畑からウラン系の核種が検出されなければ、
客土には、ウラン系の核種とトリウム系の核種

隣地からも今回の結果と同量のウラン系の核種が検出されていれば
「客土には、トリウム系の核種」
が含まれていたものと推測されます。
どちらにしても、天然にもともと存在するものですので問題はないものと考えられます。
結果からV-7容器(85ml)による、再測定は意味がないので行わないこととします。

なお、以下はご依頼者の方から頂いた質問事項について回答させて頂いた内容をご紹介したいと思います。

> ありがとうございました。
> 今回は、約10m×25mの土地に深さ1m程度で土をいれた(客土)ところ、それまで0.05(点滅)以下しか示したことのなかった
>AIR COUNTER-Sが0.1マイクロシーベルト/h以上を示すようになってしまい(地上約1mの空間線量)、購入した客土は山土だと聞いていたこともあり何が原因だろうかと思った次第です。
> 人工核種がほとんど含まれていなかったという点では安心しましたが、天然核種が豊富な土だったということで複雑な感じです。線量計が誤反応しているだけであればよかったのですけども。
> 測定頂いたK40の量はかなり多めなように思うのですが、カリウム中K40が占める割合が0.0117%と一定であるということらしいので、そうすると、放射能をもたないK39も1kgあたりにかなり多めに含まれている土という理解でよいのでしょうか?もし、お分かりでしたらご教示下さい。

ご参考までなのですが、wikiペディアの「カリウム40」
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AB%E3%83%AA%E3%82%A6%E3%83%A040

上記ページ内に「カリウム1グラム当りの放射能強度は30.4Bq」
という記載があります。
土壌(北側)のカリウム40の値は「798±171Bq/kg」です。
±の範囲はこの際考えないとしまして、1kg中に798Bq存在しているという結果です。
つまり1kgの土壌中に存在しているカリウムの量は
「798÷30.4=26.25g/kg」
となり、1kgの土壌の中にカリウムが26.25g存在しているようです。
つまり土壌中の
26.25/1000=0.02625=2.625%
がカリウムです。
この量は多いのか?

こちらもwikiペディアの「カリウム」のページから拝借します。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AB%E3%83%AA%E3%82%A6%E3%83%A0

真ん中上あたりに、

>産出
>カリウムを含んでいる長石(花崗岩などの主成分)
>単体のカリウムは、カリウムのその強い反応性のために自然中からは産出しない[10]。
>カリウムは様々な化合物として地殻のおよそ2.6%を占めており、地殻の2.8%を占めるナトリウムに次いで地殻中で7番目に存在量の多い元素である(地殻中の元素の存在度も参照)[25]。
>例えば花崗岩はカリウムをおおよそ5%と、地殻の平均量以上を含んでいる。
>金属カリウムは非常に電気的に陽性であり(電気陰性度)、また非常に反応性が高いため、鉱石から直接生産することは難しい[7]。

上記を抜粋して考えますと、平均的に地殻の2.6%を占めるようです。
今回のカリウム40のBq/kgから土壌中のカリウムの量を求めて%で表示しますと「2.625%」でした。
上記から、平均的な地殻であると推測されますので、地球上に普通に見られる土壌という事となります。

> 空間線量がかなり高めなのでどうしたものかとも思ったりしますが、このまま作物を作った場合には、その測定もお願いしてもよろしいでしょうか?カリウムがメインになりそうですが。
> 今後とも、よろしくお願いします。

上記でも記載しましたが、カリウムは通常の土壌と同じであると考えられます。
違いは、ウラン系とトリウム系の天然核種によるγ線であると思われます。
しかし0.05μSv/hの土地だったところが、0.10μSv/hになったと言いましても地球上を探せばもっと高いμSv/hの場所もありますし、
0.05μSv/hが倍の値になったと言いましても、エステーの「AIR COUNTER-S」のシリコン(Si)半導体(フォトダイオード(PD))の
検出器は小さく、誤差も±20%はありますので、

→元々の0.05μSv/hという数値が本当に正しかったのか?
→また、0.10μSv/hという数値が本当に正しいのか?

0.05×±20%=0.04~0.06μSv/h
0.10×±20%=0.08~0.12μSv/h

が測定の数値と見ます。
何かしら増えたことは考えられますが、今回の測定で分かったことは
→カリウム40の影響ではないこと
→天然核種として、一番の原因は砂等に多いトリウム系の核種が増えたのではと推測

なお、作物にはウラン系やトリウム系の核種は、不要な栄養素ですので移行することはほとんどありません。
なので作物を測定する意味がないとまでは言えませんが、
→カリウム40が極端に多かったり、
→ウラン系やトリウム系の核種が多量に検出されたり
という事はほぼないと思われます。

品名:土壌(客土混入・南側)
採取地:沖縄県名護市
採取年月:2014年9月4日
入手年月:2014年9月4日
賞味期限:NO DATA
ロットナンバー:NO DATA
測定時間:43200秒
重量:675.5g
測定容器:1Lマリネリ容器(全量充填)
解析精度:3σ
セシウム137:<0.8Bq/kg(18.9±4.66Bq/kg:誤検出)
セシウム134:<0.6Bq/kg(32.5±7.31Bq/kg:誤検出)
カリウム40:825±177Bq/kg

※2014年9月14日の測定結果です。
また、放射能測定での数値は絶対値ではありません。
機器や測定環境も左右する確率的な測定ですので、あくまでも参考値としてご活用ください。
この個体(このロット)を測定した結果はその母集団の数値を保障するものでありません。
今回の測定が検出なしでも、永続的な安心を保障するものでもありません。
==========================================================
・Facebookファンページについて
おのみち -測定依頼所-」のFacebookのファンページを作成しました
皆様の「いいね!」をよろしくお願いいたします
→「おのみち -測定依頼所-」Facebookページ

・利用料等の口座を開設しました
トラブル防止のため、利用料等は口座振り込みをご利用ください
「利用料口座の開設」と「広告用チラシの刷新」について

・長時間測定を可能にするために、測定室の環境整備を行っています
長時間測定を行うことによりノイズの平滑化を行い、計数を稼いでいます
ピークは有りそうなのに検出されていない場合等では、必要な際はゲルマニウム測定による確定が必要になります
その1:「おのみち -測定依頼所-」の測定室の環境について
その2:測定室内の遮蔽状況

・非電化工房へ長時間測定についてお問い合わせ内容等
非電化工房のCSK-3i測定器等における長時間測定について(3時間を超える測定など) 
==========================================================


0 件のコメント:

コメントを投稿